アフガニスタン西部ゴール州周辺 タイマニ族のバーリシト(枕)袋。
表はパイル、裏は平織りの大型の袋で、敷物や大型クッションとしても使える多目的な毛織物。このバーリシトを織る部族はバルーチ族、ブーラフィー族、タイマニ族などイラン東部〜アフガニスタンの遊牧民とトルコに多く、トルコではヤストックと呼ばれている。 研究者によれば、チャハールアイマクとはタイマニ(taimani)、フィロズコヒ(firozkohi)、ジャムシーディ(jamshidi)、テイムーリ(timuri)などに分類できる。なかでもタイマニはこのバーリシト、プレイヤーラグ、メインラグ(テント内の敷物)など、多くの毛織物を織っている。
ただこの地域は羊を飼うのに適した風土なため、多くの遊牧系部族が集まり分類が難しい。タイマニ族も近隣のバルーチ族やテイムーリ族、ジャフィロズコヒなどのラグと共通した文様や技術を持っている。
アフガニスタンの絨毯の本を出版しているR.Persons氏によれば、タイマニ族の特徴として以下の3つを上げているが実物をみても判断し難い。 (1)比較的荒くゆったりした織の風合い。(2)シンプルであまり込み入っていない文様。(3)オレンジ系と淡い紫系色の組み合わせで、かつ小さめのサイズ。
このバーリシトも上の条件に比較的近く、タイマニ族のものと思われる。アフガン西部の山岳地帯で育った羊毛の品質は絨毯に最適で、使い込まれてツヤツヤの状態になっている。7〜80年ほどは経っていると思われるが状態は良くパイルもしっかり残っている。